こんにちは。東京吉原で風俗のお仕事をしている月緒と申します。
今回からこちらでコラムを連載させて頂く事になりました。
どんな内容になっていくかは試行錯誤の手探り状態ですが、私がこれまでに見てきた、経験してきた、感じた事などを私なりの考えや想いを交えながら綴っていきますね。
まずは一回目なので軽いお話から。
風俗を選ぶ理由。常日頃から笑顔で接客している女の子達の背景には、風俗を選んだ理由が大なりなり小なり皆一様にあります。
ですが時々、当初の理由から大きく脱線しちゃう子もいて……。
以前、在籍していたお店にいた仮にAちゃんとしますね。
彼女はおっとりとした柔らかい雰囲気に、ぷっくりと熟れた唇と笑うと蕩ける様に下がる目尻がとても魅力的な女子でした。
そんなAちゃんがお店の待機中によく見ていたのが男性のファッション誌で、数ページごとに端を折って、分かり易くする為に気になった商品にはカラーペン大きく丸を付けていました。
どれも、一目でどこのブランドか分かる物ばかりに印がついていて、Aちゃん曰く、彼氏は高い物しか身に着けないのだそう。
それにしたって、ブランド物のスーツや鞄、靴や腕時計に加えて、彼氏と女友達との旅行代までお金を出していたそうで、そこで漸く気が付きました。
それは彼氏ではない、と。
ですが、聞けば彼氏だと突っ撥ねるAちゃん。
友達でも都合のいい女でもなく、Aちゃんを大事にしてくれる素敵な彼だそう。
でも、どうにも腑に落ちない箇所があちこちにありました。
一つ目がデートは基本的に外で外食のみ。
二つ目が彼氏の家へ行ったことが無いだけでなく、彼氏がどこに住んでいるのかさえ知らないし教えてくれない。
そして、Aちゃんが彼氏に会いたくなった時はお店に行けば会える…でした。
これって、もしかしてもしなくてもAちゃんの素敵な彼はホストでした。
全然構いません。問題は無いです。Aちゃんがそれでいいのなら、それで幸せなら何も言いません。
ホストへ貢ぐ為に風俗で働くのも立派な理由になりますから。
ですが、高価なプレゼントに毎度のデート代全額、彼氏が働くホストクラブへ会いに行く飲み代。
そして、彼氏が女友達と行く旅行の費用まで全額出していました。
さすがに、それを聞いた時は驚きよりも何故か寂しさの方が強かったのを今でも覚えています。
でも、Aちゃんはふにゃりと目尻を下げ微笑みながら見せてくれました。
彼氏がくれた旅行のお土産だと、マリモが一個ついた携帯ストラップを。
それから数日後に会ったAちゃんの携帯には、ぼろりとマリモが取れて安っぽい紐だけになった携帯ストラップが、それはもう大切そうにぶら下がっていました。
様々な理由で風俗を選び、たくさんの道筋から目的を見失っても、女の子たちは今日も笑顔です。その背景に暗い影があったとしても。